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あの人がいなければ-精子提供の今-

当事者への取材から、精子提供の今を追いました。

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「ルーツが分かるように」 海外の精子バンクを選んだ夫婦の思い

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おなかの子どもに絵本を読む女性=女性提供
おなかの子どもに絵本を読む女性=女性提供

 東海地方の30代夫婦は、夫が無精子症で、海外の精子バンクから精子提供を受けることに決めた。日本の医療機関が募集する精子提供者(ドナー)は匿名で、将来子どもから「ドナーはどんな人?」と聞かれても答えられないと思ったからだ。【中川友希】

「これほど傷つく日はない」

 無精子症だった――。夫は3年がたった今でも、仕事帰りに妻から電話で診断結果を告げられた瞬間がよみがえる。頭が真っ白になった。診断後もさらに詳しく調べたが、精子が見つからなかった。妻は母親になる道が断たれたと思い、「この世に生きていてこれほど傷つく日はもうない」とまで感じた。

 通院先から提示された選択肢は、2人で生きていく▽特別養子縁組をする▽第三者の精子による人工授精(AID)――の三つ。この時、夫婦はAIDを初めて知った。夫は「妻の血がつながるなら」とAIDを選んだ。

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